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「Apple Watch Series 5」レビュー。「常時表示」は一見地味だが大きな一歩の予感
2019/10/06
Apple Watch Series 5の一番の進化点はディスプレイだ。デザインやサイズはApple Watch Series 4から変わっていないが、ディスプレイが「常時表示Retinaディスプレイ」となり、文字通り常時表示されるようになった。
Apple Watch Series 4以前のApple Watchは、消費電力を極力下げるために、利用者が画面を見ていないときは、画面が真っ暗になり、文字盤を見るために手首をクイッと上げたり、デジタルクラウンを押したりすると画面が表示される仕組みだった。デジタル機器にとってバッテリーを一番消費する部品がディスプレイと言われているので、使っていないときに画面を消しておくというのは理にかなっていると思うが、不便なシーンがあったのも事実。
たとえば、満員電車に乗っていて両手でつり革につかまっているときに、時刻を確認するために、手首を無駄に動かさなければならなかったり、ミーティング中に時間を確認するために、いちいち腕を上げなければならないなど、Apple Watchユーザーならではの苦労があった。Apple Watch Series 5は、常に画面が表示されるので、いちいち手首を動かさなくても、さっとのぞき込むだけで時刻を確認できるようになった。
また、Apple Watch Series 5を装着しているときに、同僚から「腕時計っぽくなりましたね」と言われた。腕時計はファンションアイテムでもあり、見た目は重要な要素。ほかの人が見たときに、文字盤が真っ暗なのは、やはり格好がよくなかったのかもしれない。常時表示Retinaディスプレイによって、「時計らしさ」がアップしたのは、意外とインパクトが大きいのではないだろうか。
いっぽう、常に画面が表示されるようになって心配なのがバッテリーの持ちだ。Apple Watchは1日1回の充電が基本と言われているが、Apple Watch Series 5は「最大18時間」(カタログスペック)とApple Watch Series 4と変わっていない。常時表示非対応のApple Watch Series 4と変わっていないのはなかなかすごい。
この長時間駆動は、低温ポリシリコン酸化物(LTPO)ディスプレイ、ディスプレイドライバー、高効率IC、新しい環境光センサーの組み合わせで実現している。LTPOディスプレイは、Apple Watch Series 4にも採用されていたが、それ以外がないため、watchOSをアップデートしても常時表示はできない。技術的には、リフレッシュレートを60Hzから1Hzに落とし、秒針が表示されなくなり、文字盤のデザインもなるべく電力を消費しないデザインに変わる。予定やスケジュールなどはApple Watch Series 5を使っている(見ている)ときにしか表示されず、それ以外のときは表示されないので、個人情報が知らない人に見られるという心配は不要だ。細かな点だが、セキュリティや個人情報保護を大事にするアップルらしいところだ。